お一人様は遺言を書いたほうがいい?エンディングノートで代用はできるのか。【遺言】

「遺言」というと、「お金持ちの人が書く」というイメージを持っていませんか??

確かに資産がたくさんある場合などは、死後に遺産分割でもめないためだとか、特定の人に特定の物を渡したいなどの目的があって遺言を作成することが多々あります。

ですが、遺言が必要なのはなにもお金持ちの人だけではありません。

近年、「おひとりさま」という言葉をよく耳にするようになりました。

実は、このおひとりさまこそ「遺言」を検討してもらいたいのです。

あかしあさん

えっ、特別な財産もなにもないんだけど?

という方も、一度「突然この世を去ったらどうなるの?」という視点で考えて見てくださいね。

私は「おひとりさま」?独りってどういうこと?

あかしあさん

そもそも、お一人様ってどういうこと?独身?

と思われるかもしれません。が、ちょっと違います。

確かに独身も「お一人様」ではあるのですが、この場合の「お一人様」とは、亡くなった後、相続する人が居ない人になります。

あかしあさん

そ、相続する人・・とは(汗)?

相続する人とは、もし仮に自分が亡くなったとして、残した財産を受け継ぐ人になります。

財産を残して無くなった場合、じゃぁ・・身内もいないし、葬式を出してくれたアパートの大家さんが財産を・・なんてことはありません。

財産を相続するのは、ごくごく近しい血のつながった間柄のみです。

例えば、次の三つのパターンになります。優先順位の高い順に見ていきます。

①配偶者と子ども

配偶者と子どもが居れば、この配偶者と子どもが相続人となります。

配偶者が居ない場合、子どものみ。また、子どもが居なくても配偶者が居れば配偶者が相続人です。

もし、子どもが居ないけれど、親はまだ存命です!という場合は、次に親が相続人となります。

②配偶者と親(祖父母まで遡れる)

配偶者と、自分の親が存命であれば、配偶者と親が相続人となります。配偶者がまだ居なくても、親が存命とあれば親が相続人です。

このとき、親は亡くなってしまったけど、実は祖父母が生きている場合は祖父母に行くパターンもあります。

しかし、親も・・祖父母も亡くなっている場合は、次に兄弟姉妹が相続人となります。

③配偶者と兄弟姉妹

子も、親も祖父母も居ない。しかし、兄弟姉妹が居るよ・・!というときは、配偶者と共に兄弟姉妹が相続人となります。

①~③のパターンのすべてにおいて、配偶者は相続人となりますが、子どもが居れば②・③の親や兄弟姉妹には相続は回ってきません。①、②、③の順序で相続の順位がついていきます。

ここで、「お一人様」を考えて見ると、自分が亡くなった場合の相続人がいない状況となりますので、既に(もしくは、まだ)配偶者がおらず、子も親も、祖父母も、兄弟姉妹も居ない状況となります

遠い親戚や、いとこ、甥姪がいたとしても相続人にはなりませんから、お一人様ということになります。

なんとなく、「自分が亡くなっても、遠い親戚のところに財産が行くのでは・・?」と思いきや、そうはなりません。

また、配偶者は籍を入れていなければなりませんので、事実婚状態の場合は相続人になりません。

ですので、長年一緒に住んでいるパートナーがいる場合であっても、その自宅が疎遠にしている兄弟へ渡る・・なんていうこともない話ではありません。

資産はその後、どこへゆく・・

もし自分が亡くなった場合、持っている資産と負債は上の①~③の順序で相続されます。

資産は、銀行に預けている預金の他、積み立てたり運用している投資信託、株式、不動産、保険、などいろいろです。

「大して資産もない」と思っていても、自宅や数ヶ月分の生活費程度、あとはお葬式代にと取っていたお金など、探してみるとゼロという人は案外少ないのではないでしょうか。

もし、相続人がいない場合は、相続財産法人が設立され、清算人が財産を清算していくことになります。

その過程で、例えば生前にお世話をしてくれた人が「特別縁故者」として財産が分配されるケースもあるかもしれません。が、これは家庭裁判所の裁量となりますので、確実にこうなる、という訳ではありません。

余談ではありますが、私の大叔母もお一人様と呼ばれるパターンだったのですが、一昨昨年の年末に事故にあってしまいました。

高齢ではありましたが、頭も体もしっかりとした人で、一人暮らしでもキチンと自炊をして生活をしておりました。ですが、交通事故によりまだ意識が戻っていません。

大叔母は旦那さんも両親もすでに鬼籍に入っていますが、子どもはありませんでした。

現在は、親戚の叔母が入院の対応をしたり、事故後の処理を弁護士さんと対応したりとやっておりますが、もちろんこの叔母にも相続権はありません。

もしかしたら、特別縁故者として認められるかも・・というのはありますが、前述の通り確定ではありません。

病院代は、今は保有している財産の中から出ているようですが、目を覚ます気配は未だなく、かといってなにもできない状況が続いています。

大叔母はすでに高齢ではありましたが、交通事故などは年齢にかかわらず、いつどこで巻き込まれてもおかしくはありません。

もし、今自分が亡くなったら・・と考えたとき、

「こう言うときはこうして欲しい」

「これはあの人に任せたい」

と言った希望が少しでもあるのであれば、それは何かに残しておいた方が良いでしょう。

周りの人々は、「多分、こうして欲しいと思っているだろうな。」と思っていても、どうすることもできない事が大半です。

意識がない大叔母には後見人がついていますが、後見人の仕事は被後見人の財産を守る事ですので、周囲の「こうしてあげたい」という希望と相反してしまうことも十分あり得ます。

残った人に負担をかけないためには、現在の気持ちを残しておく事が有効です。

相続人以外に資産を渡すには、遺言を使う。

遺言書

それでは、お一人様の場合は、財産は清算人に清算されて終わりなのか・・。ということになってしまいますが、残したい特定の人に財産を渡すことは可能です。

基本的には相続人が相続しますが、相続人以外の人に財産を譲りたいと思ったら「遺言」を書きます。

遺言を書くに当たって、財産の過多は関係ありません。

お一人様であっても、事実婚状態のパートナーがいる。

お一人様だけど、身近にはいつも世話をしてくれる友達もいるし、ご近所さんもいる。

家族以上に世話になっている人たちがいる。

などなど、自宅は誰に、亡くなった後の始末を含めて面倒をかけるからお金は誰に、などの希望を書くことができます。

また、今回は「お一人様」がテーマではありましたが、相続人がいるけれど、別の人に資産を渡したい場合も遺言書は有効です。

相続人としては子どもがいるけれど、出て行ってどこにいるか分からない状。でも、身近でお世話になっている親戚がいるなど「相続人ではなく、別の人に財産を任せたい」という場合にも、遺言を残す事ができます。

遺言の種類は?エンディングノートでも良い?

とはいえ、いきなり遺言というのもちょっと難しそう・・というのが本音かと思います。

あかしあさん

遺言の書き方を見てみても、なかなかに複雑そう・・

と諦めてしまうかもしれません。

遺言には、自筆証書遺言といって「自分で書く」ものと、公正証書遺言といって「公証人役場で承認」してもらうものがあります。

どちらかというと、自筆証書の方が簡単そう・・と思われるかもしれませんが、実は様式が厳しく決められている、訂正の方法がきっちりと決まっているなどと、実はこちらの方が難しいかもしれません。

また、遺言は書いとけば良い!というモノでもありません。

遺言は、開封された時には遺言者は亡くなっています。ですので、確かに遺言者が己の意思で書き、偽造、変造されていないことを確認しなければなりません。この手続を検認と言います。

この時点で、名前がないとか、誰でも手を加えられる状態に放置されていたとかであれば、公正な遺言書として認めてもらうことができません。

さらに、書き方についても「娘とは書いてあるけど、どの子だろう」とか、「意味がちょっと通じない、どうとでもとれる」など、内容自体が遺言として満たされていない場合は無効となることもあります。

自筆証書は、このように「有効な遺言と認められないリスク」もあると考えておかなければなりません。

これに対し、公正証書遺言の場合、案文は自分で考えたとしても、書面は公証人を交えて作成されます。

ですので、いざ開封して「これは無効」となる可能性は低いですし、検認の手続も必要がなくなります(公証人の前で作成され、且つ保存しているため)。

こう考えて見ると、お勧めできる遺言は自筆証書遺言よりも、公正証書遺言です。

あかしあさん

ええっ!でも・・いきなり公正証書遺言なんて・・ちょっと敷居たかいな!?

という場合は、まずエンディングノートの活用もお勧めします。

実際のところ、いきなり遺言を書こうと思っても「なにを遺言すれば良いの??」と思われると思います。

エンディングノートでは、自分が亡くなった際に必要となるであろう事を自由に書くことができます。

連絡して欲しい人、やって欲しい手続、遺品の分配、お葬式の計画など、本来遺言では書けない(書けなくもないですが、法的効力はもたない)ものも、自由に書くことができます。

その中で、「これは、遺言にするべき事項だな。」と思ったら、それを遺言にします。

ここまで整理ができれば、心の中もずいぶんすっきりするのではないでしょうか。きっと、公正証書遺言についてもそれほど敷居が高いとは感じなくなっているのではないかと思います。

まとめ

今日は、「お一人様がなぜ遺言を作成した方が良いのか」、というテーマから「公正証書遺言」がお勧めであるということと、まずはエンディングノートから取りかかるとやりやすいということなどをご紹介しました。

エンディングノートについては、今では簡単にネットからダウンロードをしたり、百均のお店でも見かける様になりました。

気に入った表紙のノートを買ってきて作ってもかまいません。

是非取り組んでみてください。

そして、遺言書の作成に関しては、私たち行政書士でもお手伝いすることができます。

お近くの行政書士さんでも良いですし、あかしあ行政所事務所も丁寧にお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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