
「丹精込めて育てた自分たちの産品が、知らないところで勝手に名前を使われている…!?」
「他県産の安い商品に、自分たちのブランド名を貼られた!市場価格が崩されてしまった…」
今、この記事を読んでいる方の中には、そんなやり場のない怒りや不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
産地偽装は、あなたが長年築き上げてきた「信頼」を一瞬にして奪い去る、決して許されない行為です。
しかし、いざ対策をしようと思っても、
「どんな法律が味方になってくれるのか?」
「裁判をするにはお金も時間もかかるのでは?」
そもそも、一体何をするのに、いくらかかるのかも分からない・・
という状態の方も多いはず。
実は、今の日本には、生産者の皆さんがたった一人で戦わなくても済む、「国がブランドを直接守ってくれる仕組み」が存在します。
この記事では、地理的表示(GI)制度について以下の内容を分かりやすく解説します。
- 産地偽装に対抗できる「3つの法律」の基礎知識
- なぜ法律があっても偽装が無くならないのか、その「盲点」
- 国がパトロールしてくれる防衛策「GI制度」
この記事では、あなたの地域の宝を守るために「今、何ができるか」をまとめています。
ブランド保護への第一歩へ向けて、参考になさって下さい!
1. 産地偽装はどの法律で裁かれるのか?(現状の把握)

「自分たちの産地の名前が、勝手に他県産の安い商品に使われている……」
そんなとき、相手を法的に追及できる武器は主に3つあります。
これらは「知らなかった」では済まされない厳しいルールです。
食品表示法(適正な表示の義務)
まず基本となるのが「食品表示法」です。
スーパーなどで見かける食品ラベルには、原材料や原産地を正しく表示する義務があります。 もし産地を偽って販売した場合、国から「正しく直しなさい」という指示を受け、それに従わない場合は会社名が公表されます。
さらに、悪質な偽装と判断されれば、懲役や罰金といった刑事罰の対象にもなり得ます。
これは、消費者が「安心して食べ物を選ぶ権利」を守るための法律です。
不正競争防止法(ブランドのタダ乗り禁止)
次に、生産者にとって重要なのが「不正競争防止法」です。これは、他人の努力によって築かれたブランド(産地名)に、タダ乗りして商売をすることを禁止する法律です。
例えば、「A産」というブランドが有名なのをいいことに、実際は「B産」なのに「A産」と書いて売る行為は「不正競争」にあたります。
この法律の強い点は、被害を受けた生産者側が、相手に対して「販売の差し止め」や、被った損害の「賠償」を請求できるところにあります。
景品表示法(優良誤認の禁止)
3つ目は「景品表示法」です。
この法律は、実際よりも「すごく良いものだ!」と消費者に勘違いさせる表示(優良誤認)を厳しく禁止しています。
産地を偽ることは、本来の価値とは違う「偽りの魅力」で消費者を騙す行為です。これに違反すると、不当に得た利益の一部を国に納める「課徴金」という非常に重いペナルティが課されることがあります。
法律はあっても「監視」が難しい
これらの法律は強力ですが、弱点もあります。
それは、偽装を発見し、証拠を揃えて訴えるまでに、訴える側に多大なコストと時間がかかるという点です。
また、このような法律があるにもかかわらず、産地偽装の様な問題が無くならないのにも理由があります。
2. なぜ法律があっても「産地偽装」はなくならないのか?

厳しい法律や罰則があるにもかかわらず、ニュースで「産地偽装」の文字が消えることはありません。
なぜ、悪質な業者はリスクを冒してまで偽装を繰り返すのでしょうか。そこには、現在の流通システムが抱える「構造的な弱点」があります。
巧妙化する偽装の手口
現代の流通経路は非常に複雑です。
多くの卸売業者や加工業者を経由する過程で、一度ラベルを貼り替えられてしまえば、後から「中身が本当にその産地のものであるか」を判別するのは極めて困難になります。
特に農産物や水産物の場合、見た目だけで産地を100%特定することは難しく、DNA鑑定などの高度な検査には多額の費用がかかるため、現場でのチェックには限界があるのが実情です。
生産者の「自力救済」には限界がある
前述した「不正競争防止法」などで相手を訴える場合、基本的には被害を受けた生産者側が「相手が偽装している証拠」を集めなければなりません。
しかし、日々の生産活動に追われる生産者団体が、全国の市場を監視し、証拠を揃え、裁判を起こすには、あまりにも膨大な時間とコストがかかります。
「法律はあるけれど、実際に使うにはハードルが高すぎる」という現実が、偽装業者につけ入る隙を与えてしまっているのです。
「正直者が馬鹿を見る」構造を壊すために
偽装業者は、ブランド産地が長年かけて築き上げた「信頼」をタダで利用し、不当な利益を得ます。
一方で、真面目にルールを守り、品質を維持している生産者が価格競争で不利になるという、あってはならない逆転現象が起きています。
このように、一般的な法律による「後追い」の対策だけでは、ブランドを守り切ることは難しいのが現実です。
そこで、守りの姿勢を攻めに変えるための切り札として登場したのが、地理的表示(GI)制度なのです。
3. ブランドの防衛策:地理的表示(GI)制度とは

これまでの法律が「被害を受けてから生産者が動く」ものだったのに対し、地理的表示(GI)制度は、国が生産者と一緒にブランドを守る「共同戦線」のような仕組みです。
なぜ産地偽装に対してGI制度が有効と言われるのか、その理由を考えて見ます。
GI制度が「偽装対策」に強い理由
最大のメリットは、「国が警察のような役割を果たしてくれる」点にあります。
通常の商標トラブルでは、偽物を見つけたら自分たちで弁護士を雇い、裁判を起こさなければなりません。しかし、GI登録された産品については、国(農林水産省)が直接、偽装業者に対して「その名前を使うな」と行政指導を行ってくれます。
つまり、生産者が自ら高い裁判費用を払ったり、証拠集めに奔走したりしなくても、国が公的な権限でブランドをパトロールし、守ってくれるのです。これにより、生産者の負担は劇的に軽減されます。
GIマーク(登録標章)の法的効力
GI登録された産品には、信頼の証である「GIマーク」の使用が認められます。
もし、基準を満たさない偽物にこのマークを付けたり、紛らわしい名前を使ったりした場合、それは単なる嘘ではなく、立派な「法律違反」となります。
違反者には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金(法人の場合はなんと3億円以下の罰金)という、非常に重い刑事罰が科せられる可能性があります。
この「厳しい罰則」と「国の監視」があるからこそ、偽装業者はGI産品に手を出すことをためらうようになるのです。
なんと世界でも通用する「国際的なマーク」
GI制度は、国内だけのものではありません。
日本でGI登録をすると、相手国との協定(EPAなど)を通じて、海外でもそのブランド名が保護される道が開けます。
「日本のブランドが海外で勝手に商標登録されてしまう」といった被害を防ぎ、安心して輸出を拡大するための強力なバックアップとなります。
ブランドを「公共の財産」へ
GI登録をすることは、地域の名前を単なる名称から、「国が認めた、誰にも侵害させない知的財産」へと格上げすることを意味します。
*現在登録してある産品は、全国で164産品に上ります(令和7年11月17日)。
参考 登録産品一覧/農水省

GI登録は「守り」のためだけではありません。
国がお墨付きを与えることで、バイヤーや消費者からの信頼が飛躍的に高まり、結果として価格交渉力の強化にもつながります。
4.ブランドを確立する!生産者が今すぐ取り組むべき3ステップ

GI制度が強力な武器であることがおわかり頂けたかと思います。
でも、「自分たちにできるだろうか?」と不安に思う方も多いはず。
ブランドを法的に守るための第一歩は、意外にも身近なところから始めることができます。
ステップ1:自社の現状と「強み」の整理
まずは、自分たちが作っている産品の「物語」を言葉にしてみます。
- 地元の気候や土壌: なぜこの土地で作ると美味しくなるのか?
- 伝統と歴史: いつから、どんな思いで作ってきたのか?
- 独自の製法: 他の産地とは違う、こだわりの工夫は何か?
これらはGI申請の際に「明細書」という書類にまとめる核心部分になります。
まずは箇条書きで構いませんので、地域の宝物を再確認してみてください。
ステップ2:名称の保護状況を確認(商標 vs GI)
次に、今使っている名前がどう守られているかを確認します。
- 既に「地域団体商標」を取っているか?
- 他県で似たような名前が先に使われていないか?
商標は「特定のグループのもの」として、GIは「地域の文化・財産」として守るという特性の違いがあります。
今の自分たちのブランドにとって、どちらの武器が最適か(あるいは両方か)を検討します。
ステップ3:専門家(行政書士)への相談
GI申請は、農林水産省との緻密なやり取りが必要な、非常に高度な専門業務です。
「品質の基準をどう数値化するか?」
「地域の生産者全員の合意をどう取るか?」
といった課題は、生産者の方々だけで抱え込むには重すぎる場合があります。
早い段階で行政書士などの専門家に相談することで、「登録の可能性」や「必要な準備」を整理でき、遠回りをせずに済みます。
5. まとめ
産地偽装は、単に商品が偽物にすり替わるだけでなく、生産者が何十年、何百年と積み上げてきた「信頼」を奪う行為です。
法律は生産者・消費者を守るために存在しますが、その恩恵を最大限に受けるためには、「自ら動いて権利を確定させること」が不可欠です。
地理的表示(GI)制度は、そのための最も強力な味方になります。
「うちの産品でも登録できるかな?」
「偽装に悩んでいるがどうすればいい?」
そんな小さな疑問からで構いません。地域の誇りを次世代に繋ぐために、一歩踏み出してみませんか?
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