処遇改善加算って何?グループホーム経営者が押さえるべき「3つのルール」を解説

あなた

せ、制度が複雑過ぎて・・結局なにをどうすればいいか分からない!

とあきらめてはいませんか??

処遇改善加算は一言でいうと、

「スタッフの給料をアップさせたら、その分を国がバックアップしますよ」

という制度です。

ただし、お金をもらうためには3つの要件をクリアしなければなりません。

具体的には、「キャリアパス要件」「月額賃金要件」「職場環境要件」の三つの要件を満たすことにより、その状況に応じて加算のⅠ~Ⅳを受けることができるのです。

一見するととても複雑な要件で、計算もむずかしそう・・と思われがちですが、それぞれどんな要件なのか分かりやすく整理しました。

それではどうぞ!

キャリアパス要件: 「頑張れば給料が上がる仕組み」があるか

キャリアパスとは、簡単に言えば

「職員のステップアップの形」

のことです。

何をどうすれば昇級するのか、賃金が上がるのか

処遇改善加算を算定するためには、単に「頑張っているから給与を上げる」という社長の勘や温情ではなく、

「どうなれば、いくら給料が上がるのか」

という公的なルールをあらかじめ決めておかなければなりません。

具体的には、以下の3つのステップを準備することが求められます。

① 役職と役割の「階段」を作る

まずは、組織の中に「一般職員」「リーダー」「サービス管理責任者」といった階段を作ります。そして、「リーダーになるには、後輩の指導ができること」といった、その役職に求められる具体的な能力を決めます。

② 「昇給ルール」をハッキリさせる

「勤続3年で○円アップ」「介護福祉士の資格を取れば手当を○円支給」といった、目に見える基準を作ります。

「資格を取れば給料が上がる」と道筋が見えることで、スタッフのモチベーションは自然と高まります。

③ 研修で「成長」をバックアップする

「階段を登れ」と言うだけでなく、登るためのハシゴ(研修)も用意してあげましょう。

外部の研修に参加させたり、社内で勉強会を開いたりする計画を立てることが必要です。

具体的には「就業規則」や「賃金規程」といった書面により職位・職責・職務内容の認容要件を記載して賃金体系を定め、昇級の仕組みを作るとともに、職員がいつでも見られるように整備します。

このほか、福祉・職員配置等加算等届出も要件の一つになります。

【図で見る】新・処遇改善加算と「キャリアパス要件」の対応一覧表

キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴの中身

大まかにみれば、キャリアパス要件は上の①~③の内容ではありますが、次のⅠ~Ⅴに分けられています。

  • 要件Ⅰ(職位・職責): 「班長」「リーダー」などの役職と、その仕事内容、賃金が決まっていること。
  • 要件Ⅱ(資質向上の目標): 本人と相談しながら「どんな研修を受けるか」などの計画を立て、実施すること。
  • 要件Ⅲ(昇給ルール): 「経験年数」や「資格取得」に応じて給料が上がる仕組みが、書面(就業規則など)にあること。
  • 要件Ⅳ(改善額のルール): 処遇改善として支払う総額が、もらった加算額をちゃんと上回っていること。(計算の正確性)
  • 要件Ⅴ(月額賃金設定): 【新制度の目玉】 加算額の半分以上を、ボーナスではなく「月給(基本給や手当)」のアップに充てていること。

新加算(R7年より)のグレード(Ⅰ〜Ⅳ)を上げるためには、以下の表のようにキャリアパス要件をクリアしていく必要があります。

新加算の区分必要なキャリアパス要件ざっくり言うとどんな状態?
加算 Ⅰ要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ すべて役職・昇給・研修・改善額・月給転換まで完璧!
加算 Ⅱ要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ役職・昇給・研修・改善額のルールが整っている
加算 Ⅲ要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ役職・昇給・研修の「仕組み」がある
加算 Ⅳ要件Ⅰ・Ⅱ または Ⅰ・Ⅲ役職または研修のどちらかと、昇給ルールがある

次に、処遇改善加算を取るために必要な要件の「月額賃金要件」ついて見てみます。

月額賃金要件:「毎月の給料」として還元しているか

次に押さえておきたいのが、「月額賃金要件」です。

これは一言で言うと、

「国から入ってきた加算額の一部は、ボーナス(一時金)ではなく、毎月決まって支払う『月給』のアップに使ってね!」

というルールです。

これまでは「年度末に余った加算額をボーナスでまとめて配る」というやり方をしていた事業所も多かったのですが、今後はそれでは通用しなくなります。

なぜ国がこのようなルールを作ったのか、そして事業者は何に気をつければよいのかを確認します。

なぜ「ボーナス」ではなく「月給」なのか?

スタッフの立場で考えてみます。

年に一度のボーナスも嬉しいものですが、日々の生活を支えるのは「毎月の給料」です。 国には、介護職の基本給そのものを底上げすることで、スタッフがローンを組みやすくなったり、将来の年金受給額が増えたりするようにして、「一生続けられる仕事」にしようとする狙いがあります。

要件を満たすためには。

この要件を満たすためには、大きく分けて2つの方法があります。

  1. 基本給(ベース)を上げる: 月々の基本給そのものを数千円〜数万円アップさせる方法です。
  2. 新しい「手当」を作る: 「処遇改善手当」や「ベースアップ手当」といった名称で、毎月固定で支払う手当を新設する方法です。

社長が一番気になる「リスク」への考え方

「一度基本給を上げたら、経営が苦しくなっても下げられないのでは?」

と不安に思う社長もいらっしゃると思います。確かに、基本給のアップは慎重に行う必要があります。

しかし、「うちは岩手県の平均よりも月給が高いグループホームです」と求人票でアピールすることもできます。

盛岡市内の採用競争は激化していますが、「月給が高い」という事実は、求職者にとって何よりも強い安心感に繋がります。

新しく加算を取得する場合、加算額の「2分の1以上」を月額賃金の改善に充てなければならない、といった細かい計算ルールが存在します。 「いくら月給に回せば要件をクリアできるのか?」のシミュレーションは、経営の根幹に関わります。計算ミスで「要件を満たしていなかった!」と後から返還を求められないよう、ここは慎重に数字を組み立てていきましょう。

職場環境要件:「給料以外」の働きやすさを整えているか

3つ目のポイントは、スタッフが

「ここでずっと働きたい」

と思えるような、「働きやすい環境づくり」ができているかどうかです。

処遇改善加算をもらうためには、給料を上げるだけでなく、労働環境の改善(職場環境要件)にも取り組む必要があります。

「うちはそんな特別なことはしていないよ」とおっしゃる社長も多いのですが、実は普段から当たり前に取り組んでいることが、この要件に当てはまることが多いのです。

どんな取り組みが「環境改善」になるのか?

国が定めたリストの中から、自分の事業所で行っているものを選びます。例えば、以下のような内容です。

  • 「学び」を応援しているか: スタッフが初任者研修や実務者研修を受ける際、シフトを調整したり、費用を一部補助したりしていませんか?
  • 「健康とゆとり」を守っているか: 腰痛予防のために介護リフトを導入したり、有給休暇をとりやすいように声をかけ合ったりしていませんか?
  • 「やりがい」を見える化しているか: ミーティングを定期的に開き、現場の意見を経営に反映させる仕組みはありませんか?
  • 「ICT」を活用しているか: タブレットでの記録導入や、インカム(無線)での情報共有など、事務負担を減らす工夫はしていませんか?

などです。

2024年から新しくなった制度では、この「選ぶ項目数」が増えたり、特定のカテゴリー(入職促進や資質の向上など)からバランスよく選ばなければならなくなったりと、少しルールが複雑になりました。

まとめ:気をつけておきたいこと。

いかがだったでしょうか。

難しく感じられる処遇改善加算ですが、それぞれ分解してみると、少し加算取得までの道のりが想像できたでしょうか。

実は、一番の落とし穴は、「やっているつもり」で終わってしまうことです。

調査や実地指導では、「本当にその取り組みを行いましたか?」と証拠を求められます。

  • 研修の案内チラシや、受講したスタッフの報告書
  • 新しく導入した備品の領収書や写真
  • 会議で職場環境について話し合った議事録

これらを「いつでも出せるようにファイルにまとめておく」ことが、加算を守るための鉄則です。

「キャリアパス」「月額賃金」「職場環境」の3つを整えることは、一見すると大変な作業に思えます。

しかし、これらはすべて「選ばれるグループホーム」になるための土台作りでもあります。

「うちの今のルールで加算が取れるのか不安だ」

「書類作成の時間が取れない」

という盛岡の経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。地元の行政書士として、二人三脚で貴社の経営をサポートいたします。

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