
秋は引っ越しの季節・・会社も引っ越した方、いらっしゃいませんか!?
最近は、インターネットで会社の設立手続ができるようになったこともあり、起業が以前よりも身近なものになったと思います。
特に、合同会社の場合は株式会社とは異なり、公証役場で定款の認証を受けずとも良かったり、登録免許税が安く抑えられたりと、スモールビジネスを行う方の間では活用されているのではと思います。
ですが、気軽に設立したものの・・
「自宅を本店所在地にしたけど、やっぱり別な場所にしたい(だってネットで全世界に公開されてる)!」
「移転するつもりはなかったけど、自宅を引っ越ししたら本店所在地も移動しなきゃだった(自宅を本店としていた場合)!」
「最初は自宅でやっていたけど、手狭になってきたので移転したい!」
などと、次のステップを希望される方も多くおられます。
ということで、今回は「合同会社の移転」について確認したいと思います!
自分でできないかな~?
具体的に何をどうするの~?
と手続関係が気になっている方は是非参考になさって下さい。
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まずは定款を確認しよう。

会社を設立したときの事を覚えていますか・・??
そう、慌ただしく過ぎた日々。
たくさん作られた書類。
どんどん増える領収書。
その中に、「定款」があったことを思い出しましょう。
定款とは、そう、会社のルールなどを定めた書類です。
電子定款を作られた方もいらっしゃるかと思いますが、書類で作られている方であれば
「定款」
と書かれた冊子がお手元にあるかと思います。
ありますか?
紛失していませんか。
ありましたか!
良かったです!
すばらしい!
会社の引っ越しがあった場合、確認しなければならないのはこの定款の中の「本店所在地」に係る部分です。
大体、定款の最初の方に商号、目的ときて「本店所在地」が来ます。
さあ、実際にご自身の定款をめくって確認してみて下さい!
ここで最初に決めた本店所在地が記載になっている訳ですが、パターンとして
「〇丁目✕番△号」
と記載されている場合。そして、
「〇〇市」
などざっくり書かれているパターンがあるかと思います。
この「本店所在地」でありますが、これはただここ(定款)に記載されているだけではなく、
「登記事項」
となっています。
つまり、この住所が法務局で登記されているということです。
〇丁目、✕番、△号まできっちり定められている場合は、引っ越しをしたときはしっかりと手続をしなければなりません。
ここが変更になった場合は引っ越し後に法務局で登記手続を行う必要があるということです。
ですが、引っ越しをしていたとしても、この「〇〇市」内での引っ越しの場合は少し手続が違います。
本店所在地は登記事項ではありますが、
「〇〇市」→「〇〇市」
では、引っ越ししていても定款上は移動になっていないため、登記自体は必要ありません。
*「〇〇市」→「△△市」への移動は登記の必要があります。
登記が必要ない場合の事務処理

登記の必要が無い場合は、会社内部において書類の整備を行います。
内容としては、本店所在地を変更することについて、合同会社の社員(業務執行役員)の過半数の一致があった事を証する書類を作ります。その名を「決定書」といいます。
株式会社で言うところの議事録に近いものですが、ひな形をさがしますと法務局で例が出ておりますので、この通り作ると問題無いかと思います。
登記の必要がない場合は、この書類を作成後、定款等の会社の法務関係書類と併せて保存しておきます。
登記しないとダメな場合の事務処理

登記が必要な場合は、まず第一に社内で書類を整備し、それを持って登記に臨みます。
内容としては、定款を変更することについて、総社員の同意があった事を証する書類を作ります。
その名を「同意書」といいます。
こちらも、ひな形を探しますと法務局のHPで例がでておりますので、こちらを参考にすることができます。
ちなみにですが、法務局には管轄というものがあります。
お引っ越しによって異なる法務局の管轄へ移動する場合は、移動前と移動後の2カ所の法務局へと届出をする必要があります。
この場合は、本店所在地を変える登記の際に印鑑証明も手続が必要になります。
印鑑(改印)の届出と、印鑑カードの交付申請も忘れずに行いましょう。
また、登記を行う場合は、登記時に提出する申請書へ3万円の登記印紙を貼付します。管轄外の場合は2通作成しますので、それぞれにペタっと貼ります。
登記はご自身でも行えますが、司法書士さんにお願いして手続をしてもらうこともできます。
自分でできる?できない?

最近では、会社の設立においてもご自身でされる場合もあり、この変更手続自体もご自身で行うことができます。
もし、定款を確認した上で登記を直す必要がない事が明らかであり、複雑に感じられない場合はご自身で手続をしてもかまわないと思います。
ですが、定款を見ても登記の必要の有無が判定できない、管轄が良く分からない、また、
「設立は自分でやったけど、本店所在地の記載など、これで正しかったのか確認したい・・!」
などがあれば、一度専門家にご相談頂くのが良いかと思います。
特に、本店所在地の変更は2週間以内に行う必要がありますので、時間的に余裕が無い場合は上手に専門家を利用しましょう。
注)当事務所では、実際の登記については専門の司法書士事務所をご案内しております。
まとめ
以上、今回は合同会社にスポットを当て、「引っ越しの手続き」について見てみましたが、いかがだったでしょうか。
思ったより簡単そう・・!
と思った方もいらっしゃれば、
「やっぱり時間もとれないし、どこかに丸投げしたい・・!」
と思われた方も様々かと思います。
このほかにも、実際の移転に伴っては取引先への通知や郵便物の転送、各種契約の変更手続など様々な事務が絡んできます。
合同会社を運営されている経営者の方は、少数精鋭の場合も多く、一人が欠ける事で本来の業務がストップしてしまうことも多々あります。
自分でできるかできないかで言えば「できる」。
けれども、あえて外部に委託することで本業をぐんぐん伸ばして行くことも一つの手であると思います。
ご自身にあった方法で、無理なく手続を済ませてくださいね。

いかがでしたか?
このほか、所轄の税務署や県税事務所、市役所などにも手続が必要な他、雇用関係でも手続が必要な場合もあります。このときは、それぞれ税理士さんや社労士さんにもお問い合わせ下さいね。
